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2018年 04月 27日
ここ数年の潮流であるsingle-cell RNA-seqで細胞の分化や発生のtrajectoryを洗い直すタイプの仕事は、ようやくヒトの造血系にもやってきた。MajetiとChangが入ってるのは納得。 ヒト造血幹細胞や前駆細胞などの多くの分画をそれぞれソートし、single-cell RNA-seqとsingle-cell ATAC-seqにかけた。これにより、 -細胞の分化マップtrajectoryがより詳細に書けるようになった。新規の中間段階や枝葉のpopulationが見つかるかもしれない。造血系の利点は、いったん新規のpopulationが見つかれば、それに発現するユニークなCDマーカーを使うことで単離・機能解析でvalidationできる。 -細胞の分化に伴うepigenetic changesを見ることで、責任転写因子の当たりをつけられる。方向性は、その転写因子をKOあるいは結合エンハンサーをCRISPRしてノックアウトすることで細胞の分化のcrucial regulatorsを同定できる。もし造血幹細胞づくりをデザインしなおすなら、これらの因子を順番に導入するのが一見良いアプローチだ。実際は、個々の因子だけでは細胞の運命をなかなか動かせないのが造血系のやらしいところだ。各TFにspecificityが足りない。造血系で出てるTFにはpioneer factor的なビシッとしたパワーが足りない。TFを導入するより、エンハンサーを直にいじったほうがいいと思う。 -この論文の次の方向性は、CRISPR barcoding-based lineage tracingと組み合わせることでpopulationの挙動をsnapshotすることだ。discussionの最後にこれみよがしに書いてるから、もうやってるだろう。 Integrated Single-Cell Analysis Maps the Continuous Regulatory Landscape of Human Hematopoietic Differentiation Cell, 2018 #
by sugirioblog
| 2018-04-27 19:06
2018年 04月 26日
おもしろかった論文。 冬眠するリスからiPSを作った。なぜ彼らは寒さによる臓器ダメージ(神経など)に耐性があるか。 リスiPSとヒトiPSから神経をそれぞれ作り、寒くするとヒト神経細胞はリスのものと異なりダメージを受ける。リスではミトコンドリアとタンパク分解経路の遺伝子発現が変化していた。そこでヒトの神経にミトコンドリア脱共役剤(BAM15)とプロテアーゼ阻害剤を加えると、寒さダメージの軽減が見られた。そこから進展して、BAM15とプロテアーゼ阻害剤はラット網膜やマウス腎臓といった臓器のcold storageを改善した。 significance; 臓器移植分野にとって良いニュース。 novelty;冬眠動物が寒さに耐性をもつメカニズムの解明。 innovation;iPS技術により、これまで培養細胞株が確立されてなかった非モデル動物の細胞studyを拓いた。 #
by sugirioblog
| 2018-04-26 10:29
2018年 04月 21日
最近読んで琴線にふれた論文。 PUS7という酵素により修飾されたtRNAがちぎれてその断片がタンパクの翻訳を抑えることで、細胞増殖を抑えていたというストーリー。 ES細胞と血球細胞の両方で確認した。 RNAが新規の修飾をうけてスプライシングや翻訳が影響を受けるという潮流は大事だ。そしてそれが幹細胞のgeneral regulatorというコンセプトはグングンくる。 論文内でもヒストン修飾とは別レベルの新しいタイプのepigenetic regulationと紹介されている。 論文ではiCLIP-seqをすることでPUS7がtRNAに結合することを示した。それからtRNAに新規の修飾を発見し、それがたんぱく翻訳を抑えることを示した。 前半の生化学と中盤のES細胞のデータはそのまま飲み込むしかないが、後半の造血細胞のデータは興味深い。きちんと2次移植していれば、PUS7が造血幹細胞レベルで制御しているのかそれともB前駆細胞にしか効いていないのか判定できただろう。 #
by sugirioblog
| 2018-04-21 16:49
2018年 04月 19日
久しぶりにGageラボから出たNature Biotech. ヒトPSCからbrain organoidsをin vitroで作成するところまではLancaster & Knoblichが成し遂げたマイルストーンだが、Gageらはそれをマウス脳内に移植することで以下のアドバンスを得た。 -血管がorganoidに侵入することにより、生着したorganoidが生き延びる。 -organoid内の神経細胞が分化成長する。 -その結果、神経活性が認められた。 固形臓器はorganoidにできるので、そのままvivoで成長の続きをさせることができる。そのさい、血管が入り込んで栄養することが肝なのだろう。 #
by sugirioblog
| 2018-04-19 15:25
2018年 04月 17日
そして真打の2報目。これが本物だと、ヒト多能性幹細胞から造血幹細胞をつくるという20年間の世界的なeffortが全部終結する。それ以上に、皮膚細胞や分化血球といった他のソースから造血幹細胞を作る必要もなくなるくらい、ロバストだ。 biorxivに昨年8月出た。 著者のDouayラボは赤血球の分化誘導では有名だが、造血幹細胞作りに関しては一見さんだ。 この論文のアドバンスは ー方法が非常にシンプルかつ誰にでも真似できる。 ー遺伝子導入を一切せずに造血幹細胞を作った。サイトカインで培養するだけで。 ー2次移植の効率も高く、自例の2次移植経験と比較すると、臍帯血をはるかに凌駕する。臍帯血の一次移植の生着はほとんどがコンタミB前駆細胞によるものなので、2次移植の結果から、彼らの作った造血幹細胞は臍帯血よりもはるかに力価が高い。 ー白血病化しない。 この論文の欠点は、今のところ見当たらない。もしこれが本物なら、世界中で造血幹細胞が簡便に作れるだろう。 #
by sugirioblog
| 2018-04-17 14:31
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