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2013年 09月 16日
ついこないだ出た論文。気になってて、週末に読んだ。
マウスのダウン症モデルを使って、Usp16という遺伝子のトリソミーによって癌抑制遺伝子p16 p19の発現が上がる、だから各臓器で幹細胞が老化しやすい(論文ではsenescence)というストーリー。 あくまでも、一つの原因遺伝子が見つかったという内容で、治療的なアスペクトは期待しない。 コメントや感想。 1)造血、神経、乳腺の幹細胞をバリアフリーに使えるのはうらやましい。造血のデータを見ると、きちんとlimiting dilutionやsecondary transplantもしている。基本、この2つをおさえられると造血の機能データとしてはこれ以上いちゃもんつけにくい。グムー。神経や乳腺も同様のアッセイをしてる。神経はやっぱりスフェアどまりだけど、乳腺も移植できたな。 2)どうやって今回のポイントであるUsp16遺伝子にいきついたのだろう。天から振ってきたようにいきなり出てくる。他のマイルドなダウン症モデルマウスと比較しただけでは遺伝子の一本釣りは難しいというかリスキーすぎるはずだ。132(今回使ったマウスに含まれる候補遺伝子)-79(よりマイルドなダウン症マウスに含まれる重複する候補遺伝子)=53も遺伝子が残ってる。試しにusp16 down syndromeでパブっても何もでなかったから、業界で有名な遺伝子ではなかったのだろう。これは気になる。 3)p16やp19の制御つながりでUsp16はBmi1と反対しあって働くようだ。Usp16が(細胞のブレーキp16, p19を上げて)幹細胞の自己複製を止めて、Bmi1が(p16, p19を下げて)自己複製を促進する。Bmi1はよく報告されてるけど、これからはUsp16とのdual epigeneticな制御機構なんかがHSCでも言われるのかもしれない。 4)ダウン症では白血病リスクが10倍以上に上がることが知られてるけど、今回の論文では見られていない。HSCのsenescenceではちょっと説明しにくいし、これは別の機構のせいなんだろうか? 5)キャラクタライズがあまりされてないマウス病態モデルにはけっこう発見が眠ってるかも。今回Usp16まで行き着いた経緯があまり語られてなくて残念だけど、今のシークエンス時代、やっぱりこういった宝探しな仕事が増えるのかもしれない。 追記:今週のNGSの論文では白血病にはGata1などの変異が関係するらしい。こういった新規変異はどうして起こるんだろう。 ■
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by sugirioblog
| 2013-09-16 11:06
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