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2016年 09月 01日
造血幹細胞HSCがB1aタイプB細胞を作るかが血液のマニアックな方面で議論になっている。B1aは未熟な発生途上の一時しのぎのB細胞で、一次造血(卵黄のうや胎盤で一過性におこる一時しのぎの造血。本当の造血は別の場所でそのあとにおこる)の産物だ。最近の論文でHSCがB1aを作らないことが示されたが、今回のImmunity論文はそれとは異なる結論だ。HSCをバーコードしてB1aへの寄与を見たという。しかし、ラベルしてる集団が単なるLSK(HSCもくそみそも混ざる)だから残念だ。single-cell移植でB1aした結果もあるが、n=1(20回やって1回だけ生着。この実験はテッキ―で指先の神業がいるので、できる人間が限られる)なのでエビデンスの強さが弱いし、他の系譜に分化で来てるか不明だ。単なるB細胞前駆細胞を見てるかもしれない。なので、課題が3つ。
1.肝心のsingle-cell移植がn=1かつ不十分な解析のためconvincingでない。 2.B1aと共通の分化細胞が顆粒球しか示されていない。全血球に同じバーコードがあるか不明。 3.(この論文では回避できてるようだが)、バーコードがearly mesodermつまりHSCよりももっと前の段階の細胞にかかってしまうかもしれない。そうすると、中胚葉ほとんどの細胞で共通のバーコードがでてしまうので、HSCにおけるバーコードの意義がない(受精卵でするのと同じだ)。とくにin vivo バーコードではそのおそれがある。 細胞の系譜を厳密に追う方法にバーコードがあるが、それを過信するとコワイかもしれない。
by sugirioblog
| 2016-09-01 21:07
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