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2015年 05月 26日
今月担当した日本語原稿2本で、それぞれ時流とVisionについて書いた。
ボストンに来る1年前、2012年後半から2013年はぼくのCVの空白期間だった。その間、いろんな本を読んだ。特に司馬遼太郎の歴史ものを。彼の本に一貫して出てくるものが2つある。登場人物の敗因はだいたい、そのいずれか或はどちらも足りないせいだと帰結する。 1つは時流。これは花神や竜馬がゆくに繰り返し登場する。幕末の時流、つまり新政府への流れは誰にも抗し難く、それを見極めた竜馬や運よく乗ることになった蔵六はヒーローとして描かれる。 研究にも時流は存在する。ミーハーな流行だけでなく、分野の論争が一つの答えに収束する過程でもある。後者を身を持って体験した自分は時流の力強さを知ってる。そしてGDラボにやってきて、すごく似た例を間近に見る。時流に逆らうのでもなく乗るだけでもなく、時流を作る側として。それができる人は限られてる。ポジション、パワー、伝統。そしてまともなサイエンス。これらすべてが要る。 2つめはお題目。司馬の小説では「お題目」がなくて兵が潰走するシーンが見られる。「義兵として天子を奉る」ようなお題目さえあれば、多勢に無勢でも戦局をひっくり返す。 研究でこれは無いと思ってたら、最近あることに気付いた。Visionなのだ。ハーバードのキャリアセミナーではVisionを持て、と良く言われる。この良くわからない外来語、何とも正体不明でいつも答えに窮したものだ。だって実験室でVisionを語る場面なんてなかった。 ではVisionとは何だろう。これは、「something big goal of your life. Not necessary possible.」だそうだ。 つまり司馬小説のお題目なのだ。モットーだ。達成すべき目標ではなく、原動力だ。数十年そこらでは実現不可能なことを吹聴することだ。決して具体的であってはならない。魚の鰭の形態形成~とかPKCの下流を人生を賭けて追究~とかいうのは該当しない。ボストン小児病院のVisionは「全ての子供が健康になるまで」だ。 最近Okazaki賞をとったFeng Zhang氏はImpact the Worldをモットーにすると聞いた。30歳そこら、ぼくとほぼ同い年にして彼の研究は数年後を予知し続けてるかのような重要性を持つ。 自分のようにサイエンスと医学の繋ぎ目を行き来する研究者にとって、Impact the Worldはモットーとなる。 それだけでなく、基礎研究者にとってもこれはVisionとして素晴らしい。
by sugirioblog
| 2015-05-26 12:18
| 読書
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