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2013年 05月 08日
予告通り、マウスHSCの実験でできること、できないことを整理する。新しいものが見えてくるかもしれない。
できること。 1.機能アッセイ。移植によるvivoエビデンスがメイン。HSC最大にしてほぼ唯一の利点。他の体性幹細胞系では移植は難しい。 2.HSC数の定量。FACSをもちいて大まかなHSC数をカウントできる。所詮表面抗原だから、あくまでもも大まかに。厳密な定量は機能アッセイによる。 3.メッセンジャー発現プロファイル。ちょっとがんばればqRTくらいはできる。RNA-seqはかなり根性がいるし、せいぜい1万細胞から読むことになるので、どこででもできるわけではない。 4.トランスジェニック。実験の肝。マウスがあれば1-2遺伝子をいじるのはわけない。いろんなCreが手に入る。しかしHSC特異的Creに良いのがない。Vav-CreはHSCだけでなく分化細胞もかぶるし、Scl-CreERは効きがいまいち。レンチウイルスで外来遺伝子やshRNAを誘導することもできる。 5.免染。技術的にあまり難しくないが、何を見てるのかわからなくなるおそれも。 できないこと。一言でいうと生化学的なこと。基本的に細胞数の不足のせい。 1.ウェスタンブロット。ルーチンでは無理。この世からマウスが絶滅してもいいなら、毎日できるかも。 2.ChIP-seq。上に同じ。細胞数が足りなすぎる。 3.HSCのセルライン。まともなものにお目にかかったことがない。 4.ほかにもきっといろいろ。上のできること1-5以外の実験は論文でもまず見かけない。つまり、それ以外のことはほとんどできないのかもしれない。 境界線。できつつある。 1.培養。全部プライマリー。維持培養やex vivo増殖が確立しただけでかなり良い論文になる現状だから、いまだ万人向けでない。機能を無視したなんちゃって培養はすごく多いだろうけど。 2.イメージング。とりあえずできただけで一流誌というのがこの数年。そろそろバイオロジカルなインサイトにもっと注目した仕事も出てくるだろう。 3.マス。なんとマスサイトメトリーというのがある(この論文サプリが900ページくらいあったはず。サプリのダウンロード注意)。一度に30種くらいのタンパクを見るくらいだけど、すごい進歩だ。でもスタンフォードでしか見かけない。 これだけ見ると、僕らでいうvitroの系が非常に手薄だ。そう分子メカニズムだ。分子間の相互作用やcorrelation, causationを矢印でひっぱってくるのは相当危険なときがある。しかし技術的な革命、例えば昔でいうFACS、今でいうマスサイトメトリーなどが一般化すれば様相はがらっと変わるのかもしれない。 逆に細胞レベルでのメカニズム、すなわち機能を見たり観察するのは得意だ。必然的にモノサシのメモリは細胞単位となる。よってこの方向でストーリーを進めていくのが大半となる。 何を本質とするかはホームグラウンドによって形成されるかもしれない。個人的には核内に本質があると考えたくて仕方ないけど、HSCの系ではほとんど見ることができないのだ。今は細胞外のイベントと核内の特徴的なイベントと細胞の挙動の組み合わせをカテゴライズしている。しかしそこで満足していては進展がない。一度言ってしまうと新規性がないし、特異的過ぎてどれだけ普遍性があるかもわからない。そのためには新しい次元の視点を持つ必要がある。これは閉じた系ではない、というのがポイントになりそうだ。
by sugirioblog
| 2013-05-08 13:17
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